東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)1号 判決
事実及び理由
一 請求の原因一ないし三の事実は、当事者間に争いがない。そこで、原告が主張する審決取消事由の存否について検討する。
1 構成について
成立に争いのない甲第二号証ないし第五号証によれば、第一引用例には、本願考案における照明に必要な光学繊維束および送気などに必要な細管類の内視鏡要素に相当するものが、その基端が操作部本体にそれぞれ接続され、その各自由端において、それらが目的とする各装置にそれぞれ接続されるようにした内視鏡が示されているが、本願考案のように、それら諸要素をまとめて外被管に収納したものではない。
しかしながら前掲甲第二号証ないし第四号証および成立に争いのない甲第六号証によれば、第二引用例には、光学繊維束こそないが、本願考案における内視鏡要素に相当する導線11、11′、少なくとも一本またはそれ以上の流体管を含む導管41などの細管類が、本願考案における操作部本体に相当するハウジング1に接続され、しかも、基端がハウジング1に固着された可視管40(本願考案における可撓性外被管に相当する。)に一緒にまとめて収納され、しかも、前記導線、導管などの細管類はその自由端において、それらが目的とする各装置に接続されるようになつている外科・歯科における作業にも用いられる音響的振動材料切削装置が記載されており、本願考案とともに同じく医療器具として、医療分野での作業に用いられる同一技術分野に属する装置であることが認められる。
したがつて、第二引用例に開示されている右のような、その自由端において各目的とする各装置に接続するようにした細管類の諸要素を可撓性外被管にまとめて収納する技術を、光学繊維束を含む細管類の各自由端が目的とする各装置にそれぞれ接続されるようにした第一引用例に示されている内視鏡に適用して、本願考案のように構成することに格別の考案力を要するものではなく、これをきわめて容易に推考することができるものとした審決の判断に誤りはなく、この点についての原告の主張は理由がない。
2 効果について
前掲甲第二号証ないし第六号証によれば、本願考案は、可撓性外被管の収納要素である光学繊維束と他の細管類との組合せ、収納の在り方について何ら特定していないし、原告の主張するような光学繊維等の折れの防止、からみ合いによる操作上の支障の防止等の効果もそれらを可撓性外被管に収納するという構成から当然予測できる範囲にとどまるに過ぎない。
したがつて、本願考案の進歩性を否定した審決の判断に結局誤りはなく、この点に関する原告の主張も採用することはできない。
二 そうすると、審決には原告の主張するような違法の点はないから、これを理由としてその取消を求める原告の本訴請求は失当として棄却する。
〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。
照明に必要な光学繊維束および送気などに必要な細管類の内視鏡要素を、基端が操作部本体に固着された可撓性外被管に収納し、該可撓性外被管の自由端において、前記の各要素を、それらが目的とする各装置にそれぞれ接続するようにしたことを特徴とする内視鏡。